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新労務管理プラン/『成功する人材活用』

[各論30]コンプライアンスと経営について
〜労働社会保険諸法令の改正を踏まえて〜



SRアップ21東京 社会保険労務士 加藤 智
近年、「コンプライアンス(compliance)」という言葉がよく聞かれるようになりました。「コンプライアンス」とは、一般的には“法令順守”や、“社会規範や倫理などの遵守”という意味で使用されていることが多いようです。この言葉が注目されるようになったのは、1990年代頃からで、当初は、金融・証券企業の違法行為から始まり、最近では食品のラベル偽装や違法管理などの相次ぐ不祥事が記憶に新しいものになっています。この食品業界の違法管理によって、多数の被害者が健康を害するなど、企業の不祥事による直接的な被害が身近なものに感じられてきたことから、より「コンプライアンス」という言葉が注目されるようになりました。

■ なぜ、労務管理にコンプライアンスなのか?
今までは、「コンプライアンス」といえば、企業経営に関する問題として考えられることが中心でしたが、労務管理的な視点においてもこの考え方が徐々に重要視されるようになってきています。労務管理上の「コンプライアンス」とは、主に“労働基準法を始めとする労働社会保険諸法令を遵守する”ということになります。各種法令を遵守するということは、サービス残業に代表される賃金に関する問題や、社員の身体や生命、健康の保全、セクシュアルハラスメントや男女差別などをなくすことです。これにより、社員が前向きに仕事に取り組める良好な職場環境を形成する基盤ができますので、社員のモラール・やる気の向上に大きな影響を与えることになります。逆に言えば、最低限の法令さえ守らずに、サービス残業の増加や職場内での差別問題を起こしてしまうと、職場環境は低下し、社員のモラール低下や有能な人財の企業離れを招くばかりか、企業がルール(法令など)を守らないでいるとその企業の社員もルールを守らない、という組織風土ができあがってしまいます。こうした組織風土を持った企業の社員は往往にして不祥事を起こします。社員が不祥事を起こしてしまった企業の信用は低下し、顧客離れによる売上の低下や、更なる法令違反に手を染めてしまうことになりかねません。デフレスパイラルならぬ、“逆コンプライアンススパイラル”に陥っていく危険性があります。もちろん、労働争議に発展する事態も発生しやすくなります。つまり、労務管理上からみても、企業にコンプライアンスの精神がない場合には、対外的には取引先企業や顧客からの信用低下、内部的には社員からの信用低下につながってしまう危険性が非常に高くなってしまうということです。

あなたの企業では、ちょっとした心がけが足りないばかりに、社員から“いい加減な企業”というレッテルを貼られ、みすみす有能な人財を手放してしまっていることはありませんか?セクシュアルハラスメントに限らず、上司から部下へのパワーハラスメント、残業のもみ消しや未払いなど、労務管理上注意しなければならないことは数多くあります。

■ 労働社会保険関係諸法令に関する注意点は
労働社会保険関係諸法令に限ったことではありませんが、法律は常に改正を重ねています。最近では、労働基準法が改正され、“解雇は客観的・合理的理由がなければ無効”という内容の条文が追加されると共に、就業規則に“解雇の事由”を記載しなければならないことになりました。これと併せて、就業規則の改訂が必要となる場合もありますので注意してください。
また、厚生年金保険法の改正により、毎年保険料率が改定されるため、給与計算時にも注意が必要です。
現在の法律を守ることはもちろん、新しく制定・改正される法令にも常に気を配っていかなければいけません。

■ できることから一歩ずつ
そもそも、法律は“守らなければならないもの”であるにも関わらず、「コンプライアンス」という言葉が注目されているということは、多くの企業で法律を“守りきれていない”という事実があるためです。もう一度、社内のコンプライアンスに対する考え方を見直してみましょう。取引先・顧客からの信頼、社員からの信用が十分に感じ取れていますか? すべて問題がない、OKというのであれば大丈夫ですが、何点か思い当たることがあるのではないでしょうか。“うちの企業には関係ない”や“うちの企業にはできないから”と、できない部分から目をそらさずに、まずはできる部分から一つずつ改善していきましょう。マーケティング戦略と同じように、コンプライアンスについても“PDCA(Plan→Do→Check→Action)”の考え方を準用してみるのも一つの方法です。社内のスタッフだけでは手が回らない、あるいは思い通りに進まないのであれば、外部の専門家の力を借りることを検討してもよいと思います。その際には、全国のSRアップ21会員が控えていることをお忘れなく!


(いすゞ自動車梶^輸送リーダー掲載)

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