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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第98回)

「内規なんて知りませんよ…!?」
内規は管理職専用の規程です!


SRネット神奈川 (執筆担当は文末) 


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事例概要
「お前はどれくらい昇給した?」営業のT社員が同僚に尋ねています。T社員は入社5年目の中堅社員ですが、M社の評価と賃金には、いまいち納得感がありません。というのも、自分の売上高と昇給・賞与が反映していないと思っているからです。このT社員が昇給額を尋ねたのは、同期入社のR社員でした。R社員は、T社員ほどの派手さはありませんが、何事にも堅実で、顧客からもその誠実さを評価されています。
売上では、T社員の方がR社員を上回っていますが、社内外の人物評価は、R社員の方が上々といったところです。「去年よりも少し増えたかな…」というR社員の言葉にT社員は驚きました。「え〜、お前より俺の方が売上あるよな…どうして俺は去年と同額なんだろう…納得いかないな〜」「売上高だけではない他の評価要素があるんじゃないの…」R社員が答えると「しかし、賃金規程には、年齢・勤続・勤務成績によって基本給を決定する、しか書いてないよ、年齢・勤続はお前と一緒じゃないか…」

R社員と議論しても仕方ないと思ったT社員は、思い切って総務部長に質問することにしました。「会社には“内規”というものがあってね、昇給や昇格、人事異動を決める際の運用基準があるんだよ、就業規則には、細かいことまで書けないし、我々中小企業の場合は、社長の考えもあるしね…」総務部長の話を聞いたT社員は、ますます納得できなくなりました。
「ということは、一生懸命売り上げても、その結果は役員の方々にお任せ、ということですか、人の好き嫌いで給与を決めるということですか…それじゃ、やりがいも何もありませんよ、少なくとも自分とR社員を比べて何が違うのかを教えてくれませんか」と食い下がるT社員を「まぁ、悪いようにはしないから、会社を信じてこれからも頑張ってくれたまえ」と総務部長は話を打ち切りました。

M社の概要
創 業   昭和45年 本社 横浜市 
社員数   38名 パートタイマー8名
業 種   建具の卸売業
経営者像  住宅建築に必要なあらゆる資材を取り扱うM社のE社長は、62歳、古くからの得意先が多く、営業には特に力を入れています。営業は「売ってなんぼ」ではなく「無理をしない長いお付き合い」が重要だと考えています。
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事故発生の背景
中小企業では、まだまだ昇給や賞与額決定の仕組みが明確ではありません。人間性を重視するあまりに、現実の勤務成績が軽視されることもあります。 一般社員に公表されない“内規”の存在は、社員のモチベーションを低下させるだけでなく、労働条件を明示していないことにもつながる恐れがあるかもしれません。

経営者の反応
総務部長の話を聞いたE社長は「そういうところが評価を下げているのだ!と言ってやればよかったのだよ、確かに売上はあるが、普段から何かと文句が多く、去年の売上にしてもラッキーが重なっただけだろう…」と半ばあきれ顔で、これ以上の話は必要ない、と総務部長を退けました。
数日後、T社員が中心となったグループが、“昇給・賞与決定の明確化に向けて”という文書を全社員に配布し始めました。「会社に無断で労働組合みたいなことをするな!」総務部長が止めに入りましたが、「これは正当な問題提起です。この会社でずっと頑張りたいから、目標をお示しくださいということだけですよ」T社員は総務部長を無視し、配布を止めませんでした。
話を聞いたE社長は激怒し、「Tを含め関与した者は全員懲戒だ!他にやりようがあるだろう、いきなり文書配布とは何事だ!だいたいお前がしっかりしていないからこんな騒ぎになるのだ!責任持って事態を収拾しろ」と総務部長を怒鳴りつけました。
困り果てた総務部長は、早急に本件を解決できる相談先を探すことにしました。
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