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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第96回)
「早く退職金を払ってください!」
「まだ調査中だから払えません!」?
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SRネット山形 (執筆担当は文末) |
| ■ 事例概要 |
「どうも計算が合わないなぁ…」B社の経理担当者が首を捻っています。その理由は、3階のゲームコーナーの仕入れと売上げがここ数ヶ月数万単位で誤差を生じているからでした。3階の担当であるC社員を呼んで事情を聞いたところ「今の機械は優秀ですから、お金を抜き取ることはできませんよ、アルバイトもしっかり監視していますので不正行為をする者はいないと思いますが…」としっかりとした口調で答えます。「そうか…それでは計上の仕方を誤ったのかなぁ…」経理担当者は再び首を捻りながら、販売管理ソフトのデータを確認し始めました。それから1ヵ月後、C社員が退職することになりました。勤続15年で社長の信頼も厚かっただけに、幹部社員からは慰留されましたが、C社員の意思は固く、予定通りの日付で退職となりました。ある日のこと「そんな大事なことをなぜ早く報告しないのだ!J社長が烈火のごとく経理担当者を怒鳴りつけています。「しかし…確証がないですし、原因もわからないのです…」経理担当者がおどおど答えていますが、J社長は納得しません。「累計50万円もの大金が合わないなんておかしいだろう、徹底的に原因を追求しろ!また、白黒はっきりするまで、Cへの退職金支払をストップしろ、あいつが犯人だったら懲戒だからな!」と言い捨てると、経理部からバタバタと出て行きました。
後に残された経理部員たちは途方にくれながらも「とりあえず、メーカーを呼んで機械に操作の後がないかどうかを調べてもらうか…」ということで動き始めることにしました。その結果、ゲーム機に異常はありませんでしたが、景品の在庫が少ないという疑惑が発生しました。「景品の横流しか…」「景品の在庫管理なんてやってないからな…証拠ないよ」とある経理部員がつぶやきました。 |
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| ■ B社の概要 |
創 業 昭和45年 本社 山形市
社員数 16名 パート・アルバイト51名
業 種 遊技場の経営
経営者像 商店街の中心にパチンコ店とゲームセンターを構え、毎日繁盛が続くB社のJ社長は59歳。二代目社長ですが自社ビルの飲食店をゲームセンターに改装してからは売上げが上がっています。父親の代からの就業規則はまったく変更されていません。 |
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| ■ 事故発生の背景 |
業種的な事情があるのかもしれませんが、商品(景品)の管理がずさんだったようです。また、一人の社員に長期間同じ現場を任せていたことも問題だったかもしれません。
本当にC社員が犯人かどうか、証拠も何もありません。疑わしき状態で退職金を支払わないことができるのでしょうか。 |
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| ■ 経営者の反応 |
C社員が退職して3ヶ月が過ぎたころ、C社員から退職金支払督促の電話がありました。「今、調査中なので原因がはっきりするまで待ってくれ」という経理担当者に対し、「退職金は3ヶ月以内に支払う義務がある」とC社員も譲りません。B社の退職金規程には、“懲戒解雇の場合、退職金は支給しない”とありますが、それ以外には退職金支払を留保する条文がありません。また、30年前に作成された規程ですので、“基本給○号俸”という表記も現在の賃金体系とはまったく異なっています。規程上は、30号俸の12万円が最高ですので、J社長は、この12万円(C社員の退職時の基本給は25万円)を上限として退職金を支払う予定でもありました。「Cが何を言おうと、あいつが犯人だったら懲戒解雇なのだから、疑わしいものに支払う必要はない!後で返せといっても返さないだろう!」とJ社長は強気です。
困った経理部員たちは、事が大きくなる前にと、相談先を探すことにしました。 |
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