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中小企業経営者への法務実務アドバイス(第94回)
「最低賃金以下ではないですか?」
「25万円も支払っているのに何を言っているのだ!」
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SRアップ21沖縄 (執筆担当は文末) |
| ■ 事例概要 |
M社が経営する美容院は、“早く・安く・センス良く”の3拍子を売りにしているため、地元常連客が数多く訪れます。やっと閉店となった後、2人の社員が掃除をしながら話していました。「俺たちの給与は安いけど、社長は結構儲かっているだろうな…」とA社員「何時間働いても、何日出ても給与が同じというのはおかしくないかな…」とB社員。さて、この二人の給与明細をみると、基本給10万円、残業手当10万円、休日手当5万円となっています。T社長の考えは、“どんな働き方をしても、差額として残業手当・休日手当が絶対出ないようにする”というものでした。T社長は、「飲食店もそうだし、接客業はみんなこういうシステムだよ、だから最初から高額な賃金を支給しているのだ、利益は賞与で還元するし、技術力が向上すれば昇給もするよ」という説明を社員にしていました。
「そういえば、新聞に全国の最低賃金が載っていたけど、俺たちの場合は“基本給だけ”が対象だよね…社長が1ヶ月の所定労働時間は173時間といっていたから、計算すると…おいおい578円だよ!500円台なんてどこにもないぞ、これは問題だよな」とA社員がいきり立ってきました。「残業代は仕方ないと思うけど、そういうことなら基本給を上げてもらえるかもね…」B社員もニコニコしてきました。そこへT社長に売上金を渡しに行っていたC社員が戻ってきました。二人の話を聞くと、「みんなで社長に交渉してみよう」ということで三人団結しました。翌日の開店前に3人の話を聞いたT社長は「そんなことないよ、君たちには毎月固定給として支払っているんだよ、だから生活も安定するのじゃないかな、残業なんて本来は実働時間に応じて支払うものだから、うちの店は、多く払いすぎているようなものだよ」と説明しました。 |
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| ■ M社の概要 |
創 業 平成17年 本社 那覇市
社員数 3名 アルバイト1名
業 種 美容院
経営者像 大手の美容院を退職し、商店街に自分の店を開店したT社長は45歳、店の2階が自宅で妻と長男がいます。店については、過去の経験から労働問題が起きないようにいろいろと画策していますが、何かと社員たちの不平不満が多いM社です。 |
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| ■ 事故発生の背景 |
社員たちの疑問に、とりあえず自分の考えを押し付けたT社長ですが、幅広い労働関係法規をすみずみまで理解しているわけではありませんでした。
お客が多いといっても、手待ち時間も多く、曜日によっては早く閉店する日もあります。しかし、極端な給与体系が社員たちに疑問を抱かせ、それが社長への不信感となってしまっているようです。 |
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| ■ 経営者の反応 |
「C君のおとうさんから電話よ…」妻の大声にT社長はびっくりしました。C社員の父親からの内容は、最低賃金の解釈とその差額を2年間にわたり支払え、というものでした。T社長も反論しましたが、C社員の父親は会社の労働組合委員ということで、ことごとく法律論で言い返されました。
電話を切ると、すっかりしょげてしまったT社長を妻と5歳の長男が見つめています。「こまったなぁ…残業代ばかり気にして、最低賃金のことなど全然気にしていなかった…労基法には違反していないのになぁ…」
「所定時間分の賃金差額と残業単価も出し直して、かつ、実労働時間との差を出すなんて、何時間かかるかわからないよ、でも、やらなきゃ訴えると言うしなぁ…」困り果てたT社長は、どこかに良い相談先がないかどうか、前職の社長を頼るべく電話をとりました。 |
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