


 |

中小企業経営者への法務実務アドバイス(第100回)
「次の試験が不合格だったら辞めてもらうよ!」
「…」
 |
SRネット北海道 (執筆担当は文末) |
| ■ 事例概要 |
「ふぅ〜いよいよ来週だなぁ…」W社のY社員がため息をついています。Y社員はJ社長との約束で、衛生管理者の資格を取ることになっていますが、これまで2回不合格となっています。「今回不合格だったら会社を辞めなければならないんだよ」とY社員が妻に打ち明けると「試験と会社を辞めることとは、関係ないんじゃないの、まだ子供も小さいし、この不況じゃ次の仕事なんて期待できないわよ」と妻が不安そうに問いかけます。
「実は、W社に入社するときに社長と約束したのさ、衛生管理者の資格が取れるのだったら採用すると…それを2回も失敗して…今度が最後だと昨日通告されたよ…」とY社員は肩を落としました。「とにかく試験は頑張ってよ、解雇なんかされたら私が文句言うわ!」妻はY社員を励ましました。
それから3ヶ月後、Y社員はまたしても不合格通知を受け取ることになってしまいました。「君はまったく努力していないのだな!職場の衛生問題には興味があるとか、試験は簡単だとか、よくも俺をだましたものだ、研修費用や受験料、テキスト代、旅費などいくらかかっていると思っているのだ!3回チャンスをやってこれでは話にならん!採用時の約束だから早く退職届をもってこい!」J社長は、あきれきった顔でY社員に言葉を投げつけました。
職場の同僚からなぐさめられても結局は「しかし、あの社長のことだから、許してくれないだろな…」ということに落ち着いてしまい、Y社員はますます落ち込んでしまいました。次の日もまた次の日も、Y社員は退職届をもってきません。ついにJ社長も切れてしまいました。「お前も男ならけじめをつけろ、他の社員にも示しがつかん、自分で決断できなければ、今日で終わりだ、私物を整理して早く帰れ!」Y社員はじっと我慢していました。
|
|
| ■ W社の概要 |
創 業 昭和61年 本社 札幌市
社員数 15名 アルバイト146名
業 種 警備業
経営者像 主に建設工事関係の警備を請け負うW社のJ社長は55歳、親分肌で義理人情に厚いため、この業界にあっては、社員の定着が図られています。
しかし、W社長の力が強い分だけ、幹部社員が伸び悩んでいる実情も見受けられます。 |
|
| ■ 事故発生の背景 |
採用時の約束ですが、損害賠償の予約ではありません。J社長の言い分に問題があるのでしょうか。経営者の立場になれば、理解できるような気がします。
一方、採用時の約束を履行しないY社員は、このままW社に居続けることができるのでしょうか、J社長が行過ぎると、いじめ、パワハラといった問題に発生しそうな事件でもあります。
|
|
| ■ 経営者の反応 |
J社長が最後通告をした翌日もY社員は出社してきました。
「おいおい、どうゆうことだ…君はすでに当社の社員ではない、早く会社から出て行きたまえ!」それでもY社員は自分の机から離れようとしません。「いいかげんにしないと、不法侵入で警察を呼ぶぞ…」周りの社員達は、ひやひやしながら成り行きを見守っています。J社長は、これ以上言っても仕方ないと判断し、管理課長を呼んで別室に行きました。
「君は管理課長なのだから、Yをなんとかしろ、あのまま居座られたらどうする?それとも現場作業に配置転換するかだ…とにかくYの処置は君に任せる、俺はこれ以上あいつにかかわりたくない」というと管理課長をおいて外出しました。
いきなり大役を任された管理課長は途方にくれました。普段はすべてJ社長が切り盛りしているので、人事や法律のことなど何もわかりません。個人的には、Y社員が自ら退職するべきだと思っているので、余計に自分から退職勧奨を行い、恨みを買うようなことはしたくありません。
「どこかに相談しよう…」管理課長は、ネットを検索し始めました。 |
|
|